S度を楽しむ高知龍馬マラソン - ほんとの後編
今回こそ本当の後編です。
過去の記事はこちら。
さて折り返しです。
浦戸大橋を渡って以降、どこまでも永遠に続くのでは?と思われた長い太平洋沿いの道。
それもここが最西端、端っこです。
端っこですが折り返し地点です。
やっとここまで来たのに、もう一辺、今来た道を戻ってゆきます。
この道を1時間かけてやって来た人はあと30分ほど、1時間半かけてやって来た人はあと45分ほど、この道を楽しむ事になります。
でも1時間半かけちゃってたら完走がヤバくなってきてますかね。
折り返してすぐにあるのが32.2km地点の誘惑の第12給水所です。
ここでは今大会の給食での最大の売りである「かつおめし」が食べられます。
かつおめしというのは、カツオの入った混ぜご飯です。
そのかつおめしをひとくちサイズに握ったおにぎりが振る舞われるのです。
名物のかつおめしという事で食べたいのですが、目標タイムを持っている人はタイムロスが気になります。
実際そういう人たちは恐らくここまでの給食はほとんどスルーしてきたのでしょう。
しかし30km過ぎという事でだいぶんツラくなってきていますよね。
どこか意識の底のほうからは、ペースを落とす為の、立ち止まる為の口実が欲しいというバイアスがかかっている所にこのかつおめしです。
食べたい、食べるためにちょっと立ち止まりたい、誘惑が頭をよぎります。
しかもこのかつおめしは、土佐市のボランティアの方々が朝の3時から8千人分を握ってくださったという事を知ってると、もう食べないと申し訳ないというか人としてどうなのよとか思ってしまいます。
立ち止まって休むための口実が、もう次々と浮かんでくるわけです。
この第12給水所の誘惑は中々あなどれません。
記録狙いの方はご用心を。
ちなみに私は誘惑にほいほい乗って、おいしくかつおめしをいただきました。
いやいや、少しでもストレスを消してポジティブ思考を維持するのがマラソンの鉄則ですよね?ですよね?
さて折り返し後、5kmほど走るとやっと、長かった海岸沿いのコースを離れます。
やれやれ。
ここからは、さっきまで太平洋の上で輝いて横顔(両面)を照らしてくれていた太陽を、今度は背中に受けながらゴールのある春野総合運動公園の方角へ向かうのです。
暫く走ると前方遠くに最後の戦いの舞台である春野総合運動公園が見えてきます。
そしてラスト1km、いよいよ春野総合運動公園の入り口です。
この春野総合運動公園がSポイントその3です。
まず出迎えてくれるのが、高低差30mの上り坂です。
公園の入り口から陸上競技場のトラックの入り口まで500mほど続きます。
コースマップの高低差図を見ていただくと分かるかと思いますが、上り具合は中間にあった浦戸大橋の再来のような上りです。
ラスト1km地点でこの上りは、ほんとドSです。初めて高低差図を見たときは印刷ミスか何かかと思いました。
そんなわけですからここまで頑張ってきた人でも、ペースがガタ落ちになる人、歩いてしまう人など続出です。
それでも必死に坂を上ってゴールのある陸上競技場のトラックの入り口に辿り着くと、その前にはたくさんの応援の方々が待っていてくれています。
そんな応援の方々の間を通り抜けて行くわけですが、さきほどの上り坂のせいでフィジカルがキビシくて本来の走りができません。
それでもみなさん頑張れーと応援してくれます。
心の中で「いや、さっきまではちゃんと走ってたんですよ、坂がね、坂がね...」と言い訳をしつつ、応援してくれている人たちの間を抜けてトラックに入っていきます。
トラックに入れば後はゴールするだけです。
が、すんなりとは終わりません。
トラックを走り始めても目の前にゴールが無いのです。
ここのゴールはトラックをほぼ1周したところにあるのです。
(今ならホームページから参加案内のPDFがダウンロードできます。4ページ目をご参照ください)
トラックには第1コーナーから進入するのですが、そのまま第2コーナーを曲がり向こう正面の直線を走りぬけ、第3コーナー、第4コーナーを回って、正面の直線中央でやっとゴールです。
考えようによってはこれはウイニングランなのですが、先ほどの上り坂でダダ下がりになったフィジカルとメンタルにとってはツライ長い道のりです。
それでも前へ前へ進めばとうとうゴールです。
お疲れ様でした。
私はゴール後にトラック内側の芝生で寝転がるのが楽しみであり好きなのです。
大人になると芝生に寝転んで青空を見上げるなんて機会はあまりありませんからね。
でもここはトラックの内側は開放してくれてないのです。
陸上競技場の外へ出る為に仕切られた通路区間以外は立ち入り禁止です。
しかたないので人の流れから外れている通路の角っこの隅で転がってます。
私にとってはこれが高知龍馬マラソンのコースでの最後のSですかね。
おわり。